健康診断の結果を受け取ったときや、胃の不調、便通の変化などが続いたとき、「自分にはどのような検査が必要なのだろう」と迷う方は少なくありません。
胃カメラと大腸カメラは、どちらも消化管を調べる内視鏡検査ですが、観察する場所や、検査を検討するきっかけは異なります。また、症状や健診結果、これまでの検査歴によっては、どちらか一方ではなく、両方を検討することもあります。
今回は、胃カメラと大腸カメラの違いを確認しながら、症状・年齢・健診結果などから、自分に必要な検査を考える際の目安を整理します。受診時にご自身の状況を医師へ伝えるための参考としてご覧ください。
胃カメラと大腸カメラは何を調べる検査?
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、口または鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を観察する検査です。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸まで、大腸の粘膜を観察する検査です。
どちらも内視鏡検査ですが、観察する臓器や、検査を検討するきっかけは異なります。そのため、内視鏡検査を受ける場合に、胃と大腸のどちらか一方だけを選ぶとは限りません。症状や目的に応じて、片方を検討する場合も、両方を検討する場合もあります。
胃カメラを検討したい症状・状況
次のような症状や状況がある場合は、胃カメラによる確認が検討されることがあります。
- 胃もたれが続いている
- みぞおちに痛みがある
- 胸やけや、酸っぱいものが上がってくる感じがある
- 吐き気や食欲低下が続いている
- 食べ物が飲み込みにくい、つかえる感じがある
- 真っ黒でタール状の便が出た
- ピロリ菌の感染歴や除菌歴があり、定期検査を勧められている
- バリウム検査や健診で異常を指摘された
- 過去の胃カメラで経過観察を勧められている
これらに当てはまるからといって、必ず病気があるとは限らず、すべての方に直ちに胃カメラが必要になるわけでもありません。症状の内容や経過、これまでの検査結果を確認したうえで、検査の必要性を判断します。
大腸カメラを検討したい症状・状況
次のような症状や状況がある場合は、大腸カメラによる確認が検討されることがあります。
- 便潜血検査で陽性を指摘された
- 目で見て分かる血便が出た
- 便秘や下痢など、便通の異常が続いている
- 便が細くなったなど、便の状態にこれまでと異なる変化がある
- 原因がはっきりしない貧血、特に鉄欠乏性貧血を指摘された
- 腹痛やお腹の張りが続いている
- 大腸ポリープの切除歴がある
- 大腸がんや大腸ポリープの家族歴がある
- 過去の大腸カメラで経過観察を勧められている
便潜血検査で陽性となった場合は、精密検査が必要です。一般的には、精密検査として大腸内視鏡検査が行われます。便潜血検査をもう一度受けて陰性だったとしても、精密検査の代わりにはなりません。
また、便潜血検査は、症状の原因をすべて調べる検査ではありません。結果が陰性でも、血便や便通の変化、腹痛などが続いている場合は、次回の検診を待たずに医療機関へご相談ください。
胃カメラと大腸カメラの両方を検討することがあるケース
次のような場合には、胃カメラと大腸カメラの両方を検討することがあります。
- 胃の症状と便通異常の両方がある
- 貧血や体重減少などがあり、原因を広く確認する必要がある
- 胃と大腸の両方について、過去の検査で経過観察を勧められている
- 症状や健診結果などから、医師が両方の確認が必要と判断した
ただし、内視鏡検査を受けたことがない方全員が、胃カメラと大腸カメラの両方を受ける必要があるわけではありません。まず診察や血液検査などを行い、その結果によって一方の内視鏡検査から検討することもあります。
当院では、症状や体調などの条件が整えば、胃カメラと大腸カメラを同じ日に行う場合もあります。実施できるかどうかは、検査の目的、前処置、服用中の薬、全身状態などによって異なりますので、診察時にご相談ください。
症状・年齢・健診結果をどう組み合わせて考える?
ご自身の状況を整理する際の目安として、以下の例をご参照ください。
胸やけ・胃痛・胃もたれなどが続いている場合
医療機関を受診し、胃カメラが必要かどうかを医師へご相談ください。
血便・便潜血陽性・便通の変化がある場合
医療機関を受診し、大腸カメラが必要かどうかを医師へご相談ください。
貧血・体重減少や複数の消化器症状がある場合
早めに医療機関を受診し、必要な検査をご相談ください。状況によっては、胃と大腸の両方を調べることもあります。
症状はないものの、年齢や家族歴が気になる場合
これまでの検診歴や検査歴を確認したうえで、今後の受診方法について医師へご相談ください。
過去の内視鏡検査で経過観察を勧められた場合
以前の検査で指示された時期や検査間隔を確認し、再検査について医師へご相談ください。
検査の必要性は、年齢だけで決まるものではありません。現在の症状に加えて、これまでの健診歴、家族歴、ピロリ菌の感染歴、大腸ポリープの既往、過去の内視鏡所見などを合わせて考えます。
国が推奨する対策型がん検診では、大腸がん検診は40歳から年1回の便潜血検査、胃がん検診は50歳から2年に1回の胃部X線検査または胃内視鏡検査が基本とされています。ただし、実際の対象者、費用、実施方法などは自治体や加入している健康保険によって異なることがあります。
なお、これらは主に症状のない方を対象としたがん検診の目安です。すでに血便、黒い便、胃痛、便通の変化などの症状がある場合は、検診の時期を待たず、診療として医療機関へご相談ください。
夏休みは検査について考える機会に
検査そのものに、季節による医学的な効果の違いがあるわけではありません。一方で、夏休みは、これまで先延ばしにしていた健診結果や検査歴を見直し、受診の予定を立てる機会にしやすい時期です。
- 診察や検査の日程を確保しやすい
- 大腸カメラの前処置を含めて予定を調整しやすい
- 検査後に無理のない予定を組みやすい
- 必要な場合に、家族へ送迎や付き添いを相談しやすい
- 先延ばしにしていた健診結果を見直す機会になる
ただし、血便やタール状の黒い便、強い腹痛、繰り返す嘔吐、意図しない体重減少、息切れや動悸を伴うような貧血症状などがある場合は、夏休みまで待たず、早めに医療機関へご相談ください。
まとめ
胃カメラと大腸カメラは、調べる場所や検査を行う目的が異なります。胃カメラが適している場合、大腸カメラが適している場合、両方を検討する場合があり、必要な検査は症状や健診結果、これまでの検査歴によって異なります。
どの検査が必要なのか分からない場合は、ご自身で最初から検査を決める必要はありません。現在の症状、年齢、健診結果、家族歴、過去の検査歴を医師へお伝えいただければ、その内容をもとに必要な検査を検討できます。
気になる症状や、確認していない健診結果がある方は、まずは診察時にご相談ください。
