「昔からお腹が弱くて……」「便秘は体質みたいで、ずっとこうなんです」。外来でもよくお聞きする言葉です。下痢や便秘は「自分の体質」として長年受け入れてきた方が多いのですが、実は腸の中では何らかの理由でそうなっている、ということがほとんどです。今回は、下痢しやすい人・便秘しやすい人それぞれの腸で何が起きているのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
そもそも「便」はどうやってできる?
食べたものは胃で消化され、小腸で栄養が吸収されたあと、大腸へと送られます。大腸では水分が吸収されながら便が作られ、最終的に直腸から排出されます。
この「水分の吸収」と「腸の動き(蠕動運動)」のバランスが、便の状態を大きく左右します。このバランスが崩れると、下痢や便秘が起こりやすくなると考えられています。
「下痢しやすい人」の腸では
下痢のときは、腸の動きが速くなりすぎていたり、腸内での水分吸収がうまくいっていなかったりすることが多いとされています。大腸を通過する時間が短くなると、十分に水分が吸収されないまま便が排出されてしまいます。
考えられる主な原因としては、次のようなものがあります。
- ストレスや緊張(腸と脳は密接につながっています)
- 冷たい飲食物のとりすぎ
- 食中毒・感染性胃腸炎
- 過敏性腸症候群(IBS)の下痢型
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)
「緊張するとお腹が痛くなる」「外出前に必ずトイレに行きたくなる」という方は、腸と自律神経の関係が影響している場合も少なくありません。
「便秘しやすい人」の腸では
便秘のときは反対に、腸の動きが遅くなっていたり、大腸で水分が吸収されすぎて便が硬くなっていたりすることが多いとされています。
考えられる主な原因としては、次のようなものがあります。
- 水分不足・食物繊維不足
- 運動不足
- 排便を我慢する習慣(職場や外出先でトイレに行けないなど)
- ストレスや生活リズムの乱れ
- 過敏性腸症候群(IBS)の便秘型
- 加齢や腸の動きの低下
女性に多いとされる傾向がありますが、男性でも長年の習慣や生活環境が影響していることがあります。
「下痢と便秘を交互に繰り返す」方も
「下痢が続いたと思ったら今度は便秘に……」という方もいらっしゃいます。これは過敏性腸症候群(IBS)の混合型としてよく見られるパターンのひとつです。腸の動きが不規則になることで、便の状態が安定しない状態が続きます。
過敏性腸症候群(IBS)は、消化器内科の外来で非常によくご相談いただく疾患のひとつです。「検査では異常なし」と言われてきた方でも、適切な診断と対処法が見つかることがあります。ひとりで抱え込まず、一度ご相談いただければと思います。
ただし、似た症状でも炎症性腸疾患など別の原因が隠れている場合もあるため、症状が続く場合は消化器内科での診察をご検討ください。
「体質だから」で終わらせなくていい理由
下痢や便秘が長年続いていても、診察や検査によって原因が明らかになり、症状が改善するケースは少なくありません。特に次のような場合は、一度消化器内科への受診をご検討いただけると良いかもしれません。
- 便に血が混じる・黒っぽい便が出る
- 急に症状が変わった(以前は便秘だったのに最近は下痢が続くなど)
- 体重が減ってきた
- 腹痛が強い・夜中に痛みで目が覚める
- 健診の便潜血検査で異常を指摘された
- 40歳以上で症状が続いているのに、これまで大腸の検査を受けたことがない
「ずっとこういうお腹だから……」と思っていても、こうした症状が重なるときは、体質のせいと決めつける前に一度消化器内科でご相談いただくことをご検討ください。
当院について
恵理子内視鏡クリニックでは、お腹の症状についての外来診察のほか、苦痛に配慮した鎮静剤を用いた胃カメラ・大腸カメラ検査を行っています(効果には個人差があります)。女性医師が担当しますので、デリケートな症状もご相談いただきやすい環境を整えています。
「ずっとこういう体質だと思っていた」という方も、まずは外来でご相談ください。
