「腸は免疫と関係が深い」という話を、健康情報の中で目にする機会が増えています。実際、腸と免疫は医学的にも密接な関係にあります。今回は、消化器内科医の立場から「腸と免疫の関係」と「腸の不調を見逃さないためのポイント」についてお話しします。
なぜ「腸が免疫の要」と言われるのか
私たちの体には、外から侵入してくる細菌やウイルスに対抗するための免疫システムが備わっています。腸管には、免疫に関わる細胞やリンパ組織が多く存在していることが知られており、全身の免疫応答に深く関与していると考えられています。
腸の粘膜には免疫を担うリンパ組織(腸管関連リンパ組織)が広く分布しており、食べ物とともに入ってくる異物を識別し、無害なものと有害なものを振り分ける役割を担っています。この働きには、腸粘膜のバリア機能や腸内細菌とのバランスが関係していると考えられています。
腸内環境が乱れると、どうなるか
腸の中には数百種類、100兆個以上ともいわれる腸内細菌が存在し、腸内フローラ(腸内細菌叢)を形成しています。この細菌のバランスが崩れた状態は、医学的には「ディスバイオーシス(dysbiosis)」と呼ばれることがあり、さまざまな不調の一因になると考えられています。
- 下痢・軟便が続く
- 便秘がちになる、または下痢と便秘を繰り返す
- 腹部の不快感・膨満感
- ガスが増えたように感じる
こうした消化器症状が長引いている場合、腸内環境の乱れが背景にある可能性があります。また、腸の炎症や粘膜の変化が症状として現れていることもあるため、「なんとなく続く不調」を軽視しないことが大切です。
生活習慣を見直しても症状が続く場合に考えたいこと
食生活の見直しや生活習慣の改善を試みても症状が続く場合、腸内環境の乱れだけでなく、消化器の疾患が関係していることがあります。
たとえば、以下のような疾患は症状だけでは区別が難しいことがあります。
- 過敏性腸症候群(IBS):検査で明らかな炎症や腫瘍などが見つからないにもかかわらず、腹痛や下痢・便秘などが繰り返される状態
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病):腸の慢性的な炎症によって、下痢・血便・腹痛などが起こる疾患
- 大腸ポリープ・大腸がん:初期には自覚症状が乏しく、便通の変化や便潜血で発見されることが多い
こうした疾患は、症状や年齢、健診結果などに応じて、血液検査・便検査・大腸カメラなどで確認することがあります。
こんな症状が続くときは、消化器内科へ
以下に当てはまる方は、一度消化器内科への受診をご検討ください。
- 下痢・便秘・腹痛が数週間以上続く、または繰り返している
- タール状の黒い便が出る
- 便に血が混じっている
- 便通の変化(細くなった・回数が急に増えた・減った)が気になる
- 健康診断の便潜血検査で「要精密検査」と指摘された
- 原因不明の体重減少や強い倦怠感がある
- 40歳以上で便潜血検査を受けていない方、または症状・家族歴などがあり大腸について相談したい方
なお、血便・黒色便・体重減少などの症状がある場合は、期間にかかわらず早めに受診することが大切です。
大腸の病気の中には、初期には自覚症状が乏しいものもあります。気になることがあれば、早めに消化器内科へご相談ください。
当院での診察・検査について
恵理子内視鏡クリニックでは、女性医師が診察・大腸カメラ検査を担当しています。検査は鎮静薬を使用した苦痛に配慮した方法で行っており、「検査が怖い」「以前つらかった」という方にも、身体的・心理的な負担に配慮して対応しています。
腸の不調が気になる方、健診で引っかかった方、まだ一度も大腸カメラを受けていない方は、まず受診してご相談ください。
